清水学芸員




クロツバメシジミとツメレンゲ
H22.11.13 更新
ツメレンゲ

交尾しているクロツバメシジミ
秋になると、川原や堤防で、白い花をつけた20センチメートルくらいの高さの植物を見かけることがあります。この植物はベンケイソウ科のツメレンゲで、長野県版レッドリストの準絶滅危惧にあげられています。
そして、この周囲には10円硬貨くらいの小さな黒褐色のチョウが飛んでいることがあります。このチョウは、クロツバメシジミといってツメレンゲやイワレンゲなどを食草としています。本州関東以西、四国・九州などに分布していますが、分布は不連続で生息地は狭く限られていることが多いです。長野県は北限に近く、全国的にみると産地が多いといわれていますが、近年は減少傾向となっていると考えられています。
河川を歩くと、ツメレンゲは日当たりがよい砂地や、斜面の乾燥した、他の植物が生えにくい場所を中心に見つけることができます。しかし、周りの草木が育つことなどにより、だんだんと数が減ってしまったり、ツメレンゲが生えていても草丈のある植物に覆われてしまうことにより、開けた空間を好むクロツバメシジミが生息できなくなってしまったと考えられる場所もあります。
ツメレンゲは幼虫の食草としてだけでなく、クロツバメシジミの成虫が花の蜜をよく吸っているのも観察できます。さらに、クロツバメシジミは幼虫で越冬しますが、冬の間枯れた食草の中を利用していることもあります。大町市付近に生息するクロツバメシジミにとって、ツメレンゲは不可欠な存在と考えられます。



スズムシ
H22.10.2 更新
スズムシの生息地

翅を垂直に立てて音を出すスズムシ

夏も終わりに近づき北安曇郡松川村から安曇野市穂高にかけての水田の畦やその周辺部の草原で『リーン、リーン』とスズムシの鳴き声が聞こえるようになりました。スズムシの鳴き声は、オスがメスを呼び寄せる時、けんかをしている時など違う音を出すことが知られています。
コオロギやキリギリスのなかまなどの鳴く虫は、(はね)だけでなく脚を使うものなど種類によって音の出し方は様々ですが、ここではスズムシを例にして紹介してみます。スズムシは羽化直後(成虫になったばかり)では、翅が4枚ありますが、しばらくすると後翅は後脚を使い自分ではずしてしまいます。普通スズムシの翅が枚しかないのはこのためです(長翅型といって後翅が発達した個体は、多少飛ぶこともできます)。
スズムシが鳴いている姿を観察してみると、オスは翅を垂直に立てて、広げ、左右に振るわせます。その時、翅がこすれることによって音を出しています。実際に翅のどこの部分をこすり合わせているのか拡大してみると、右前翅の裏側にある太い脈がやすり状になっているのがわかります。左前翅の表には、ツメ状の突起がついています。ツメで、ヤスリをひっかくことによって音を出しているのです。ということは、この左右の前翅が逆に重なった場合は、音を出すことができないことが分かります。



マグソクワガタ
H22.6.12 更新
マグソクワガタの生育環境

触覚を広げるマグソクワガタ

月のある晴れた日に、北信にある大きな川の河川敷に、マグソクワガタというとても変わったクワガタムシを見に行ってきました。
クワガタムシといっても、大きなあご(きば)もなく、1aほどの茶色い小さなコガネムシといった形態をしています。しかも、多くのクワガタのように樹液に集まるということもありません。シカの角のような触角を広げて川原の砂地の上や落ち葉の上を歩き回ったり、ハエのように飛び回っていました。
マグソという名前からも、かっこいいというイメージはまったく浮かんできません。実際に本物を見ても、ほとんどの方はクワガタムシであるとは思わないことでしょう。
この甲虫(こうちゅう)は幼虫の形態からクワガタムシのなかまに入れられています。成虫は近縁なコブスジコガネ科によく似ていますが、幼虫はマダラクワガタやツヤハダクワガタとの共通点が多いことから、クワガタムシ科マダラクワガタ亜科に分類されています。

春に河川の砂地に埋まっている流木などに産みつけられた卵は、梅雨頃に孵化して朽ち木を食べて育ちます。そして翌年の秋頃、朽ち木の中で蛹(さなぎ)になるため、蛹室(ようしつ)と呼ばれる内側がすべすべの専用の部屋をつくり、その中で蛹になります。羽化した成虫(新成虫と呼ぶ)は、すぐに蛹室から出ることはせず、そのまま朽ち木の中で越冬して翌年の春にはじめて野外に出ます。



クサカゲロウ
H22.1.24 更新
周囲にはアブラムシがいます

葉の裏に産みつけられた卵

アメリカヤマボウシの葉に小さなちりのようなものがついていました。よく見ると動いています。小さなちりの正体は、クサカゲロウ(クサカゲロウ科)のなかまの幼虫でした。ちりは幼虫の背中に付けられたゴミなどで、体を隠すカモフラージュとして使われています。このカモフラージュは、小鳥などの天敵から身を守ることと、獲物とする小さな昆虫などから気付かれにくくする二つの効果があることが期待されています。背中のゴミをよく見ると体液を吸われて乾燥したものと考えられるアブラムシの死骸が含まれていました。
昆虫の口はふつう大顎(あご)・小顎・上唇(しん)・下唇の四つからできています。本種のなかまは、大顎と小顎の二つがくっついてできた管状の通路があり、この管の中を餌の体液が流れることのできる吸収顎(きゅうしゅうがく)という口を持っています。この口を刺して小昆虫などの体液を吸います。背中にあるゴミを取り除くと、近縁のウスバカゲロウ科の幼虫で、砂地にすり鉢上の巣をつくるアリジゴクの体を細長くしたような体をした姿が現れます。背中のごみを取り除けば正確に虫の種名が判るのですが、近くにいるアブラムシを捕まえようとしているところでしたので、この時はそのままにして写真だけ撮影しました。
クサカゲロウのなかまの卵は、糸状の柄で葉に産みつけられていて、三千年に一度花を咲かせると言われる想像上の植物、「優曇華」(うどんげ)と称されています。地域によっては、この卵を見つけることで吉兆、凶兆と占いをする所もあるようです。



木の枝のうどん
H21.8.2 更新
ヒモワタカイガラムシの卵塊


モミジワタカイガラムシ(メス成虫)の背中にアリがのっている

博物館に、市民の方から庭にあるサクラの枝に変な白いものがひっかかっていると電話がありました。その方の話では『細いうどん』のように見えるけれども、生き物のようだとのことでした。まずは実物をということで、その木の枝を持ってきていただきました。『うどん』のような物の正体は、『ヒモワタカイガラムシ』という昆虫の卵塊でした。この白いひものようなものの中には卵がいっぱい詰まっています。卵は初夏に孵化し、幼虫は葉の裏側などで吸汁を行い成長します。そして幼虫のままで越冬、翌年成虫となり6月頃に産卵というサイクルを繰り返します。
カイガラムシのなかまは、カメムシ目に分類され、カメムシやセミと同じ仲間に分けられています。カイガラムシもセミと同じように口吻(こうふん=針状の口)を植物に刺し込んで樹液を吸って生活します。小さなカイガラムシの持っている細い糸のような口吻が堅い木の幹に刺さり、幹の中にある篩管(しかん=養分の通路)から栄養を取ることができるのは驚きです。
カイガラムシの特徴の一つとして、オスは、卵・幼虫・蛹(さなぎ)・成虫と成長の段階ごとに形態が変化し、成虫になると1対の翅(はね)があり移動できます。しかし、メスの場合は、他のカメムシ目の昆虫と同じ蛹の期間が無い不完全変態です。成虫になっても翅が無く、脚も退化したものが多くほとんど移動することがないことがあげられます。また、オスが発見されておらず、メスだけで単為生殖する種もいます。
メスの成虫の外部形態は、名前のとおり貝殻のように硬い背中に覆われているもののほか、背中が白い粉で覆われているもの、厚い蝋のようなもので覆われているものなどいくつかの型に分けることができます。



ハルゼミとエゾハルゼミ
H21.6.26 更新
エゾハルゼミ


ハルゼミのぬけがら


セミというと真夏のイメージですが、春にみられるセミもいます。ハルゼミといって名前のとおり春に羽化(成虫となる)セミです。
ハルゼミと国語辞典などで引くと、別名松蝉(マツゼミ)と書いてあり、さらにマツゼミと引くと俳句で晩春や初夏の季語にも使われていると書いてあります。
大町市には、このハルゼミのほかエゾハルゼミも生息しています。ハルゼミは、主にアカマツ林に、エゾハルゼミはコナラやミズナラなど広葉樹林に多くみられ、標高800bを超えるとエゾハルゼミの個体数の方が多くなります。成虫の発生時期は、ハルゼミの方が5月上旬と少し早く、5月中旬には両種がみられ、月以降になるとエゾハルゼミの方が多くなります。標高766bにある山岳博物館周辺では、両種とも観察することができます。
幼虫の抜け殻の大きさや色はよく似ていますが、成虫ではハルゼミが黒っぽく、エゾハルゼミは明るい色彩、鳴き声も違うので区別は簡単です。アカマツの幹にしがみついている抜け殻のほとんどはハルゼミです。ハルゼミは成虫になってもアカマツの林を離れることが少ないことから、アカマツに依存していることが分かります。
2009年の大町公園では、ハルゼミは5月9日から、エゾハルゼミは5月20日から鳴き声を確認しました。
ハルゼミは木の枝先など比較的高い所でムゼー・ムゼーとかゲーキョ・ゲーキョと鳴きますが、エゾハルゼミは地面からbくらいの低いところに止まっていることも多く、ミョーキン・ミョーキン・ケケケケ・・・と少しヒグラシに似た鳴き声で鳴きます。



シャチホコガ
H21.2.22 更新
体を反らすシャチホコガの幼虫
歩行中のシャチホコガの幼虫

「シャチホコ」と辞書をひくと、頭はトラで背中にとげのある逆立ちした空想の魚で、城郭などの大棟(おおむね)の両端につける飾りの一種。またシャチホコ立ち、逆立ち。シャチホコ張る、緊張してかたくなる。しゃちばるなどと書かれています。
ガのなかまには、シャチホコと名前のついた種類がいます。
シャチホコガ科の幼虫は、いわゆるイモムシ、毛虫の形をしたほか、写真のように変わった突起物のあるものなど様々な形態をしています。

また、頭部と腹端部を反らして威嚇?する。独特のポーズをとります(名前の由来になっていますが、実際にこのようなポーズをするものは少ないです)。

皆さんは写真-1を見てどこに頭があるのか分かるでしょうか?体を伸ばした姿の写真-2を見ればわかりやすいでしょう。上の方から、頭部、摂食する時に手のように使われる3対(6本)の胸脚(きょうきゃく)、木の枝をしっかりとつかんでいる4対の腹脚(ふくきゃく)、1対の尾脚(びきゃく)の順番となっています。尾状突起に変化している尾脚は、触角のようにも見え、どちらが頭かお尻か紛らわしい姿は、鳥などの天敵から大切な頭部を狙われにくいとも言われています。
この不思議な姿が天敵に対して実際にどの程度威嚇の効果があるのかは不明ですが、人間に対しては、触ると毒があるのでは?棘が刺さったり、噛み付かれて痛い目にあうのではと想像してしまい思わず触るのを躊躇してしまうことでしょう。



地面を歩く宝石
H20.10.13 更新
アオオサムシ

ゴールの中

私は、マレットゴルフをしませんが、マレットゴルフ場に出かけることがあります。ゴールのカップ(穴)を覘くといろいろな生き物を見ることができるからです。アリ、ヤスデ、クモ、ミミズなど地面で生活しているあらゆる生き物が穴のなかに落ちて、這い上がれずにたまっていることがあるのです。これは、歩行性昆虫を調べるときに用いるピットホールトラップといってビニルコップなどの口を地面と同じ高さにしてうめた落とし穴式のわなと同じ構造になっているからです。コップの中に肉類や魚、糖蜜などの餌を入れると、ベイトトラップ(ベイテッドピットホールトラップ)と言います。
今回はマレットゴルフのカップに入っていた綺麗な甲虫を紹介します。2007年の10月に北安曇郡池田町のマレットゴルフ場でアオオサムシを見つけました。オサムシのなかまは肉食で、小昆虫やミミズなどを食べます。多くは後翅が退化していて飛ぶことができないので、大きな川などがあると渡ることができず、分布が分断してしまい、同種であってもまるで別種のように色彩が異なるなど変異に富んでいます。そして、青や緑、金色など様々な金属光沢のある前翅があるものもいます。そのようなことから、愛好家には特に魅力があるのでしょう。この色彩は、表面にあるミクロレベルの凸凹や穴などの構造による光りの反射によって出来ていることから、構造色(こうぞうしょく)といわれています。タマムシや、南米などに生息している青く光り輝くモルフォチョウの翅などと同じ原理です。
綺麗なオサムシですが、敵から身を守るためにおしりから出す防御物質はとても臭いので、うっかり素手で触らないように気をつけて下さい。



新芽に集まるコルリクワガタ
H20.7.28 更新

朽木につけられた産卵マーク(飼育下)。このなかまは産卵したときに特有の印(咬み跡)をつけることが知られています。

交尾するコルリクワガタ
六月の新潟県境に近い標高一二〇〇メートル前後の山で、このクワガタムシに出会いました。雪融け直後のブナの新芽が開く頃、残雪と新緑を背景に日光を反射してきらきら光りながら飛ぶ姿は、とてもクワガタムシとは想像できないものです。
普通クワガタムシというと、夏の夜間にクヌギやコナラなどの幹から出る樹液に集まる種類が多いですが、このなかまは、ほかのクワガタムシの成虫の活動がまだ始まらない五月から六月の昼間、天気のよい気温の上がった時間に、ブナなどの木の芽をかじり、そこから出る液を吸います。
また、オスとメスでは色彩が大きく異なりオスは青緑色、メスは銅色の金属光沢をしています。体長は、一〇ミリメートル後と小さいですが、触角やオスの大あごの形はまさしくクワガタムシの形をしています。
この昆虫がもっと大きい体を持っていたら、外国産のニジイロクワガタなどに負けないくらい人気があることでしょう。
日本の昆虫で金属光沢をした色彩の昆虫はあまり多くいませんが、熱帯地方の昆虫には多く見られます。そして色彩が鮮やかな種は、昼間活動するものが多くいます。熱の吸収率の高い黒色より熱を反射するため、必要以上な体温上昇を防ぐためともいわれています。
日本にルリクワガタのなかまはいくつかいますが、中でもコルリクワガタは地域によって、大きさや色彩の変異が多く、四つの亜種に分けられ、さらにこまかく地方型にも分類されています。



木の枝そっくりナナフシ
H20.1.27 更新
エダナナフシ(長野県南部に分布しているナナフシモドキは触覚が短い
エダナナフシの卵(左)とシラキトビナナフシの卵(右)
みなさんは、ナナフシという昆虫を見たことがありますか?
野鳥などの天敵から見つかりにくく、植物などに似ていることを擬態といいますが、ナナフシはその代表といえるでしょう。雑木林などがあるところに広く分布しており、けっして珍しい昆虫ではありませんが、木の枝そっくりで人目につきにくいため、見た事のある方は少ないかもしれません。
ナナフシのなかまは、日本に18種が知られています。そして大町市には、エダナナフシと、背中に羽のあるシラキトビナナフシ、ヤスマツトビナナフシの3種が分布しています。
ナナフシの生態には、他の昆虫と異なる興味深い特徴がいくつかあります。ほとんどの昆虫は、オスとメスがいて両性生殖(卵と精子との受精が必要)で増えますが、ナナフシの仲間の多くは、メスしか見つかっておらず、単為生殖(交尾をしなくても産卵した卵が孵化し成長する)で増えることができます。
木の枝によく似たナナフシは、天敵(人間も含む)が近づくと、体を風に吹かれた枝のようにゆらゆら上下左右にゆすってみせます。さらに顔を近づけたり、触れたりると、あっという間に地面に落下して動かなくなり死んだふりをすることもあります。もし、捕まってしまった時は、自切といって脚を切り離し逃げようとします。幼虫の場合は、トカゲなどのように再生しますが、脱皮の時に少しずつしか再生できませんので、完全に元の大きさまでにはなりません。
ナナフシは体が木の枝そっくりなだけでなく、木の上から糞のように産み落される卵も植物の種子にそっくりです。ここまで似ていなくても大丈夫なのでは、と思うのですが・・・。



子育てする昆虫A
H19.11.4 更新
卵を背負うコオイムシ

共食いするコオイムシ

前回は、陸生カメムシの中で子育てする昆虫を紹介いたしましたが、今回は、水生カメムシのなかまを紹介します。その名はコオイムシ。いかにも子育てしているといった名前です。子を背負うといっても、子虫(幼虫)ではなく、卵です。
コオイムシは、小さな昆虫やオタマジャクシなどの体液を吸う動物食のカメムシで、農薬の少ない水田などに生息しています。メスは、オスの背中に卵塊を産み付けてしまうと、あとはすべてオスにまかせて知らんぷりですが、オスは卵が孵化するまで背中の卵を背負い続けなければならず、さらに背中の卵塊がじゃまになり飛ぶこともできません。オス自身に、背中に生みつけられた卵を、自分で外敵から守っているという自覚があるのかは分かりませんが、呼吸のため、時々水面近くに浮かぶことなどにより、背中の卵にも酸素が供給されたりして、孵化率の向上に役立っていると考えられています。
水槽で背中に卵をつけたコオイムシを飼育してみました。オスの背中の卵から孵化した幼虫は、個々に泳ぎ分散していきましたが、先ほどまで背中に卵を付け、外敵から身を守っていたはずのオス親は、なんと目の前を泳ぐ幼虫を捕まえ、口吻を刺し体液を吸ってしまいました。一度、自分の背中から孵化してしまった幼虫は単なるエサとしか認識していないことが分かります。さらに、幼虫同士でも共食いが多くみられました。このように、動物食の昆虫でも成虫まで生き残るのは困難であることが分かります。



子育てする昆虫@
H19.10.11 更新
卵を保護するエサキモンキツノカメムシのメス

昆虫は哺乳動物などの他の生物と異なり、卵を産んだらそのままほったらかしにしている、といったイメージがありますが、なかには育児をするものもいます。
最も一般的に知られているのが、ミツバチやアリなどでしょう。ハチのなかまは、他の昆虫のように単独で生活するものが多いですが、巣を造り、女王が産んだ卵をワーカー(職虫)が世話をして育てるものがいます。集団で生活を行い役割分担が発達したものは、社会性昆虫とも呼ばれています。
くさい臭いを出すことで有名な、嫌われものの昆虫のひとつであるカメムシのなかまにも子育てするものがいます。子育てといっても、幼虫にエサを与えたりはしませんが、外敵から卵や幼虫を守ることから子守り虫とも呼ばれることがあります。
カメムシの出す臭いは、外敵から身を守るだけでなく、オスとメスをひきつけ合うなどなかま同士のコミュニケーションにも使われています。
ちなみにカメムシの名前は、外部形態が亀の甲羅の五角形のように見えることから由来しています。
カメムシの一生は、卵、幼虫(種により45回脱皮)、成虫となります。カブトムシやチョウなどと違って、蛹の期間が無い不完全変態するなかまです。そして生活する場所によって水生カメムシと陸生カメムシの二つに分けられています。アメンボやミズカマキリもカメムシのなかまです。セミも大きく分類するとカメムシのなかまに入れられています。

背中にハート型の紋があるのが特徴のエサキモンキツノカメムシも卵や幼虫を保護する昆虫です。ツノカメムシ科などには、親が卵や幼虫を外敵から保護するものが知られていて、卵や幼虫を体の下に隠し、外敵が近づくと翅を震わせて威嚇したり、翅でくさい臭いをまきちらしたりもします。




カブトムシの幼虫
H18.10.15 更新
シロテンハナムグリの幼虫
カブトムシの3齢幼虫
カブトムシの幼虫雌雄判別(オスにはV字模様がある)
子供たちに人気のムシキング(もう時代遅れ?)のカブトムシやクワガタムシの季節も終わりましたが、来年の夏まで待ちきれない子供たちは、夏の間カブトムシを飼育していた水槽の中のオガクズや腐葉土をひっくり返して卵や幼虫を探したり、雑木林の周辺にある製材所などで山積みされた、オガクズやシイタケの古いほだ木などの中にいるカブトムシの幼虫を掘りに行きます。そのような場所の土や腐葉土の中には、大小さまざまな幼虫を見つけることができます。皆さんはその中のどれがカブトムシの幼虫か解るでしょうか?
庭や空き地などの土やたい肥を掘り起こすと、コガネムシのなかまの幼虫が見つかります。一番多く見られるのはシロテンハナムグリ(写真1)でしょう。この幼虫の体は後方に行くに従い太くなっていきますが、カブトムシの幼虫の体の太さはあまり変化していません(写真2)。カブトムシの幼虫は、公園などの空き地よりも雑木林に近い場所の山積みされた、たい肥などから多く見つかります。
また、みなさんはカブトムシの幼虫でも雌雄の判別ができることをご存知でしょうか?オスの成虫や蛹には、立派な角があるのでわかりますが、角のついていない幼虫の雌雄の判別ができます。ただし、10センチメートルくらいに大きくなった幼虫でしかよく判りません。丸まっている幼虫をやさしく伸ばして腹側を観察してみましょう。オスとメスとでは模様が少し違います(図-1)。オスには皮膚の下にあるV字の模様が透けて見えます。1匹だけの場合は難しいと思いますが、何匹もいる時には、ぜひ判別にチャレンジしてみて下さい。



ヤナギにバラの花?
H18.9.6 更新
ヤナギシントメハナガタフシ

河原に生えているイヌコリヤナギの枝先に、2センチメートルくらいの八重咲の花のようなものがついていました。花のように見えますが、ヤナギの花の時期はもう終わっていますし、良く見ると花の構造ではなく葉が八重咲の花のように重なりあってできているようです。
正式な名称は、ヤナギシントメハナガタフシという虫こぶ(虫えい)のひとつです。
虫こぶの名前のつけられ方は、寄生された植物名(ヤナギ)の後ろに、形成された部分(芯)、形態の特徴(止め、花形)と続き最後にフシとつけられるのが一般的です。ヤナギシントメハナガタフシという長ったらしい名前は、ヤナギの頂芽が止められ(伸長することなく)ヤナギの葉が花状になってできた虫こぶという意味からつけられているのです。
虫こぶとは、昆虫の幼虫が植物を食べた刺激に植物が反応してできた症状名で、この虫こぶを形成させたものは、ヤナギシントメタマバエという小さなハエです。このハエは葉に産卵し、孵化した幼虫は頂芽に侵入し、形成された虫こぶの中で越冬するという生活をしています。
野山に出かけると、様々な植物の葉や芽、茎などにコブができたり、異様な形に肥大したり収縮しているものを見かけます。これらの異様な形となった原因は、昆虫、ダニ、菌類、ウイルスなどで、それぞれ虫えい、ダニえい、菌えいなどと呼ばれています(総称してゴールとも呼ぶ)。これらは、植物にとっては厄介なものですが、中にはマタタビなど人間からは有用となる薬用に利用されるものもあります。また、まるで花や実のように美しい形状や色彩をしたものもあります。皆さんも野山に虫こぶウォッチングに出かけてみませんか?



アオスジアゲハの吸水行動
H18.7.15 更新
吸水(吸塩)するアオスジアゲハ

新潟県糸魚川市ひすい海岸は、砂浜というより小石でできていて、ヒスイがとれることで有名です。その付近の海水浴場の波打ち際で一匹のチョウが飛んでいるのを見つけました。近づいてみるとアオスジアゲハ(アゲハチョウ科)で、海水で濡れた小石や砂利で吸水行動をしていました。波打ち際の水面から1メートル前後の、時折大きな波が来ると海水がかかるような場所でした。オスのチョウで羽の汚損状態は見受けられず、羽化後あまり時間が経過していない個体であると思われました。
アオスジアゲハは東南アジアに広く分布している種ですが、長野県ではほとんど見ることのできない蝶の一つです。また吸水活動の観察例が比較的多い種でもあります。
チョウの吸水行動については、「水分補給」、「栄養分の摂取」、口吻から水を吸い体内を通し排泄することによる「体温の調節」のためなどの諸説があります。アームズ氏ら(1974年)の報告によると、オオトラフアゲハ(北アメリカ産)での吸水に関る実験では色々な塩類の中でもナトリウムイオンを好むという記載があります。
今回観察した行動は、海水を吸うものであり、海水の塩分の構成成分の約77.9パーセントが塩化ナトリウムであるこことから、無機塩類の摂取が目的であることを考えることができます。今まで色々なチョウの吸水を観察してきましたが、海水を吸っているチョウを観察したのは今回が初めてでした。雲ひとつない青空のような色彩の翅をもつアオスジアゲハは真夏の海岸にとても似合っていました。アームズ氏らの論文は、Science1851974年)に掲載されております。



糞をしたのはだ〜れ?
H18.6.7 更新
動物の糞には様々な情報が隠されています。何を食べてどのくらいの栄養を摂取したのか、消化器官などの健康状態、繁殖期(発情中)かどうかなど多岐にわたります。性ホルモンなどを調べるには専門的な検査機器や薬品などが必要となりますが、外見上で解ることもあります。形や大きさを比較することにより糞の排泄主を知ることができます。糞の排泄主が解ることにより、実際に野外でその動物を観察することができなくても糞のあった場所に生息しているという重要な証拠となります。
さらに、糞の色からの判断や糞を崩して内容物を調べることにより、小動物の骨や羽毛、昆虫の羽や脚、植物の葉や種子が見つかることもあります。
一つの糞からその糞をした動物の生息が確認でき、糞の中にあった虫の脚や羽から、食べられた昆虫の種名と動物の行動圏の中にその昆虫が生息しているという可能性が考えられるという様に、連鎖的に様々な事が解明されていきます。
また、動物によっては季節よって食べる餌が変化するものもいます。そのような場合、食べた物が糞にも色や形に反映されます。

さて問題です。この写真の糞はどれも同じ動物の糞ですが、どんな動物の糞か解るでしょうか?ヒント:糞のある場所は、日本では北アルプスなどの高山域に限られています。
皆さんの昨日の食べ物はどうなったでしょうか?また、野山で動物の糞を見つけたらこの話を思い出して観察して見て下さい。何か発見があるかもしれません。
答えは、ライチョウの糞です(この糞についての詳しい説明は博物館2階に展示されています)。



冬の昆虫採集
H18.2.15 更新
朽木の中にいたクロナガオサムシ
冬に昆虫採集をすると言うと、ほとんどの人は寒い冬に?と不思議に思うようです。昆虫採集は、夏に行うものというイメージが強いですが、なかには冬の間に行うものもあります。もちろんたくさんの積雪がある時や、吹雪いているような寒い日には採集者側の都合もあってあまり行いませんが、晩秋から春の芽吹きの時期までの間の方が、昆虫の種類により適した採集方法もあるのです。
たとえば、ミドリシジミのなかまなどのチョウの卵の採集は、夏の間は樹木の葉が茂って見つけにくいのですが、秋から冬の落葉の時期は見つけやすくなります。エノキの根元にある落葉の中で越冬しているオオムラサキやゴマダラチョウの幼虫採集も秋冬向きです。
夏の間には個体が活発に動きまわり分散していて見つけにくいものも、越冬する時は数個体から数十個体の集団になる種類もいます。そのような習性を利用して、朽木や崖、切り通しなどを崩して探すオサ掘りといわれるオサムシ・ゴミムシ・マイマイカブリの採集などがあります。
大町市近郊の山で直径40センチメートルくらいの倒木を手鍬を使い崩してみたところ、クロナガオサムシがいました。朽木の中は、木による断熱効果もあり、適度な湿度も維持できることからクワガタムシやハチなどをはじめ多くの昆虫が利用する場所のひとつです。
寒い冬の間は、ほとんどの昆虫たちは活動を休止しています。冬越しの形態は昆虫たちの種類により異なり、卵・幼虫・サナギ・成虫と様々なステージで行われています。
また、昆虫の種類により寒さに対する強さは異なります。チョウのなかまを例にすると、一般に卵やサナギは比較的硬い殻に守られているものが多いことから、寒さや乾燥に強く、風雪に直接さらされている草木の葉や枝についたままで越冬する種が多いです。
一方幼虫は、イモムシや毛虫などの形態をしているものが多いことから、寒さや乾燥に弱いものが多く、落葉や朽木、土の中など凍結しにくい場所で越冬する傾向がみられます。



小枝の卵の正体は?
H18.2.7 更新
イラガのまゆ

イラガの幼虫
秋も深まり落葉の季節となると、庭木の枝に1.5センチメートルくらいの白色とこげ茶色の縞模様のある、卵のようなものを目にするようになります。この模様は一つ一つ少しずつ皆異なっています。この姿から、スズメの卵・スズメノテッポウ・スズメノショウベンタゴ(たご=天秤棒などで担ぐ肥桶など)などとよぶ地方もあります。
何かの卵のように見えますが、これはイラガという蛾の幼虫が作ったマユです。蛾のマユといっても、カイコやヤママユ(天蚕)のなかまのように糸の繊維の感触がなく、すべしています。触ってみると、鳥の卵のような感触で、指でつぶそうとしても割れないくらいとても丈夫に出来ています。イラガの終齢幼虫は、この硬い殻のようなマユで冬の寒さや乾燥から体を守っているのです。そして、春になるとこのマユの中でサナギになります。
イラガの幼虫は、庭木に多く用いられているウメ・アンズ・カキ・サクラ・カエデのなかまなど様々な樹木の葉を食べます。剪定などの時にうっかり触れてしまうと、電気が流れたような激痛が走るとてもいやな毛虫です。その姿は、見るからにドクを持っているぞ!と周囲にアピールしているかのような棘と、とても鮮やかな色彩をしています。でも刺すのは幼虫だけで、羽化して成虫になると毒はありません。マユの中にいる幼虫にも人を刺す棘がありません。
関東地方を中心に人気がある冬の風物詩、タナゴ釣りでは、このやっかい者のイラガのマユを玉虫と呼び、餌にしています。イラガのマユを割り、中の幼虫を釣り針の先に小さな団子状にしてつけ、餌として利用します。



ヒキガエルはなぜ山を登る?
H17.12.28 更新
周囲の落ち葉にとけ込んでいるヒキガエル

北アルプスを登山していると、たまにヒキガエルなど本来低地に生息している生物に出合うことがあります。夏の天気の良い日には、山頂部など見晴らしの良い場所で、キアゲハやヒメアカタテハを、また上昇気流の強い稜線部などではトンボの仲間やモンシロチョウ・アサギマダラも見かけることがあります。しかし、これらはどれも翅があり空を飛ぶ生物です。地面を歩くことしかできないカエルはどうしてこんなに標高の高い場所にいるのでしょうか?また、川や池から離れた水もない場所でどうしているのでしょうか?
長野県に広く分布しているアズマヒキガエルは、水辺から離れた平地や、比較的標高の高い場所でもよく見かける種です。いくつかの観察例をご紹介いたします。
1997年8月9日 鹿島槍ヶ岳赤岩尾根の高千穂平上部2220メートル付近。この近くの繁殖確認地は標高1370で標高差は850メートルあります。
1999年7月21日 烏帽子岳 2500メートル付近と2250メートル付近登山道 近くに池はありましたが、オタマジャクシを発見することはできず、確認できた繁殖地は登山道の登り口付近の1290メートル前後にあり、標高差は1210mもありました。ヒキガエルも日本三急登の一つといわれているブナ立尾根を登ったのでしょうか?
2004年8月5日 蓮華岳 2650メートル付近登山道横 大きさから生後2年くらいの個体と思われました。
2005年7月15日 爺ヶ岳 柏原新道の2260メートル付近 登山道側面の穴の中にいました。
浦野・石原編「ヒキガエルの生物学」によると、アズマヒキガエルの分布標高は、0〜2300メートルで、平均は63メートル。産卵場所は池、湖、ダム、水田、路傍や巨岩の水溜りなどの止水とあり、行動距離については1日に移動する最長距離の平均は15〜20メートルですが、1〜2時間に70メートルも移動したという報告もあります。
餌を求めてか?新しい繁殖地を求めてか?ヒキガエルの目的はまだ不明です。



肉を食べるスズメ
H.17.11.6 更新
スズメ(ハタオリドリ科)は留鳥として日本全国で人家周辺に住み着いており、本州では最も普通に見ることができる馴染みの深い小鳥のひとつです。昔話の「舌切り雀」にもでてくるように、お米を食べる稲作の害鳥としてのイメージがとても強い鳥です。しかし実際には、お米だけを食べているのではなく、本来は地面付近の植物の種子を中心に、小型のバッタやイモムシなどの小昆虫も食べている鳥です。
そのスズメが博物館の付属園で飼育しているトビ(タカ科)の餌である馬肉やレバーなどを食べているのを観察したことがあります。この肉を食べるスズメは毎年数羽いて、特に5〜6月ごろこの肉食行動を多く観察することができます。この時期はスズメの繁殖期にあたり、通常は肉を食べないスズメでも昆虫類などをとおして動物性蛋白質を多く摂取することが知られています。
博物館に来るスズメの場合は、キジやヤマドリなどに給餌しているトウモロコシなどを粉砕した配合飼料のおこぼれを食べに来ていた個体が、金網の目が比較的大きいトビ舎に入り込みトビに給餌した肉類を食べることを学習したものと考えられます(トビは猛禽類ですが、とても臆病で穏やかな鳥です。肉食ではありますが健康な小動物などを捕獲して食べることはほとんどなく、飼育舎に入り込むスズメを追い払う行動は観察したことがありません)。そして、博物館に飛んで来る全てのスズメが肉類を摂食しているわけではないことから、ある一部の家系にこの食文化?が引き継がれているのではないか、と推測することもできます。
戦後日本人の食事が欧米化した(菜食中心から肉類へ比重が高まった)ように日本のスズメも食性が変化していくのでしょうか?



松の葉を食べる虫
H17.8.17 更新
マツノキハバチの幼虫 体長約20ミリメートル 本種による被害樹木の枯死の記録はありません。成虫は6-8ミリメートルと小さく、ほとんどの人は成虫には気づかないでしょう。
マツの葉を食害する昆虫というと、今まではマツカレハというガの幼虫が最も普通に見られる種で、一般にはマツケムシと呼ばれている親しみのある虫(?)のひとつです。
マツカレハの幼虫は大きくなると70から80ミリメートルにもなる毛虫で、毛にはドクがあり、刺された直後は痛く、直ぐに腫れ上がります。腫れはやがてひきますが、今度は痒くなります。症状は人により異なりますが1週間くらい続くこともあります。
ところが、平成16年より今まで見たこともない虫がマツの葉を食べているという問い合わせがいくつかありました。持ち込まれた虫を調べてみるとイモムシなのですが、チョウ目(ガやチョウのなかま)の幼虫とは異なり、脚の数がたくさんあります。ふつうチョウ目では1〜4対ですが、ハバチのなかまは5〜7対あります。マツノクロホシハバチの幼虫でした。ハチといっても人を刺したりはしないのですが、マツの木にとってはやっかいです。幼虫の大きさは小さいのですが、集団で葉を食べるため、マツが丸坊主に近くなるまで気づかないこともあるようです。丸坊主になると、通常春しか見られない芽吹きが秋にも起こってしまい、その結果、樹木が衰弱し枯死に至る場合もあるといわれています。大町市周辺でこのマツノクロホシハバチの食害を調べてみたところ、野外に自生しているアカマツから庭木にしているゴヨウマツなど様々な種類のマツを食していました。また、個体数は少なかったですが、マツノキハバチも見られました。
ここにあげた2種のハバチは、低地から高山まで広範囲で見つかり、ハイマツを食べている記録もあります。
近頃、昔は見かけることのできなかった虫や、昔からいても個体数が少なかった虫たちが身の回りに増えてきたような気がします。これも地球温暖化の影響の一つなのでしょうか?



ヒメギフチョウの生活史
H17.4.16 更新
  
ヒメギフチョウの蛹(2002年7月9日)
あまり昆虫に興味のない方でも、ヒメギフチョウやギフチョウという名前は聞いたことがある方のではないでしょうか。
ヒメギフチョウやギフチョウは、4月から5月の春先に姿を現すことから、「春の女神」とかカタクリなどの花とともに「スプリングエフェメラル」(春のはかない命)などとも呼ばれ、愛好者の多いチョウのひとつです。

「春の女神」は、春が過ぎ、梅雨の時期になるとどのような生活をしているのでしょうか?
その年の気象条件などにより異なりますが、ヒメギフチョウの成虫(蝶)が見られる期間は約14日間。卵は14日から20日で孵化し、幼虫(毛虫)の姿で50日間前後過ごし、蛹(さなぎ)となります。蛹は7月ころから翌年羽化するまで9ヶ月前後そのまま過ごします。ということは、一生の中で蛹の姿でいる時間が一番長いことになります。

では、どのような場所で蛹になっているのでしょうか?北安曇郡白馬村で蛹を観察する機会がありました。蛹は食草より50センチメートル前後離れた石の裏側で地面との間は2‐3センチメートルほどの隙間につくられていました。
この生息地は、毎年数十個体のヒメギフチョウとギフチョウが飛び交い、幼虫もかなりの数を観察することができる場所です。この時1時間程蛹を探してみましたが、この1個体のみしか発見することができませんでした。ヒメギフチョウやギフチョウはアゲハチョウ科に属していますが、蛹となる場所は地面付近です。他の多くのアゲハチョウのなかまは、地表から離れた高い位置にある木の枝や草等で蛹になります。また、飼育下の観察では、蛹を木の枝などに固定している糸は弱く切れて外れたりするものが多く、野外でも地面にころがりやすいものと思われます。
ヒメギフチョウは一生のほとんどを、人目につくことなく眠って過ごし、美しい飛翔を見せるのはほんのわずかの間です。



雪の上のエビフライ
H17.3.6 更新
ニホンリスにかじられたマツボックリ

冬は動物の観察をするのに適した季節のひとつです。落葉した林や藪は見通しがよく、雪の上は落ち葉や土と違い、動物たちの足跡のほか、食べ痕や糞などさまざまな痕跡がとても見やすくまた、見つけやすいからです。このような痕跡から野生動物の種名はもとより、生活や行動などについて調べることをアニマル・トラッキングと言います。
2003年の2月、穂高町の雑木林で雪の上に残されたニホンカモシカの足跡を見つけ、どこへ行き、なにをしていたのかを調べるため足跡をたどっていました。アカマツの木が多く生えた場所へさしかかると4から5センチメートルのエビフライのような形をしたものが落ちていました。拾って良く見るとアカマツのマツボックリ(球果=きゅうか)を動物がかじったものでした。周囲にはマツボックリのかけら(鱗片=りんぺん)もたくさんありました。これらのことからこのエビフライについていろいろと推理していきます。アカマツの球果を食する動物には、ネズミの仲間とリスの仲間があげられます。エビフライを良く観察してみると、エビフライの身の部分(果軸)のかじり痕にムラがあり、所々長い部分などがありました。ネズミの食べ痕は、果軸をきれいに刈り上げたように食べることから、リスの仲間であることが考えられます。リスの仲間でこの付近に分布しているものは、ニホンリスとニッコウムササビがいます。さらに周囲を歩き回ってみると、木の幹から少し離れた別の木の幹の間に小さな足跡があり、また、カエデの仲間の小枝や冬芽の殻(芽鱗=がりん)が散乱していました。小枝の切り口はまるでナイフで切ったように鋭いものでした。冬芽や小枝はリスもムササビも食べます。後足の足跡の長さは5センチメートル位あり形もリスのものでした。以上のことから、今回のエビフライを落とした動物はニホンリスのものであると判断しました。

このように実際に動物を見なくてもどんな動物が生活しているのかを知ることができます。皆さんも雪の積もった野山で動物たちの生活を推理してみてはいかがでしょうか?



アリとコオロギ
H16.12.12 更新
トビイロケアリ(1目盛りが1mm)
アリツカコオロギ
イソップ童話の中に「アリとキリギリス」という話があります。
アリは夏の間一生懸命働き餌をたくわえ、一方キリギリスは遊んでばかり。いよいよ寒い冬になると‥‥「怠けていないで働きなさい」という教訓の話として知られています。この話の元になっているギリシャのイソップ寓話では、「セミとアリたち」であったものが、いろいろな国に伝わりセミのいない場所ではキリギリス・コオロギ・トンボなど他の昆虫に置き換えられたといわれています。
イソップ童話の内容とは違いますが、コオロギの中にはアリと、密接な関係を持った種類がいます。アリツカコオロギです。日本に広く分布していますが、アリの巣の中に住んでいるので人目につくことはほとんどありません。アリの排泄物などを食べるといわれています。一緒にいるアリの種類はヤマアリ属・ケアリ属・クシケアリ属などさまざまです。

このように異なった種類の生き物どうしが、一緒に生活している形のことを共生といいます。共生には寄生(一方のみが得をする関係)や片利共生(一方は得をして他方は得も損もしない関係)・相利共生(両方とも得をする関係)があります。

アリツカコオロギとアリとの詳しい関係は、アリの巣の中で生活しているのにどうして食べられないのかなど、まだまだよくわかっていないことがたくさんあります。
また、多くのコオロギの仲間には、オスの前翅(ぜんし)には楽器の弦にあたるヤスリと弓にあたるツメがあり、それを擦り合わせることで音を出します。アリツカコオロギは翅(はね)がないので、鳴くことができません。

昨年9月に北安曇郡松川村でトビイロケアリの巣より2匹採集する機会がありました。この時アリの巣は地面に木の枝や刈取られた草などを積まれた場所にあり、この中の倒木をどかした時に出てきたアリやワラジムシやミミズなどの中に混じり、機敏に動き回る小さな卵のような生き物がアリツカコオロギでした。



種を運んだのはだーれ?
H16.10.9
 更新
7.30 蓮華岳(黄葉しているのがブナの実生)
平成15年7月中・下旬に、北アルプスの爺ヶ岳と蓮華岳においてブナの実生(みしょう=発芽したもの)を観察しました。
北アルプスでブナ林が見られるのは標高1600メートル付近までです。爺ヶ岳ではそれより860メートル高い2460メートル付近、南峰の緩やかな南斜面で観察しました。
蓮華岳では、1140メートル高い標高2740メートル付近、針ノ木峠から山頂に向う途中で観察しました。いずれも、登山道より少し離れた場所であり、その周囲にはハイマツが生えています。
この実生の近くには、いくつかの発芽していないブナの種子もありました。また、発芽した芽の先端部は厳しい気象のためか枯れているものもありました。種子が発芽したということは、動物などに食べられなかったことを意味しており、また、本来ブナの自生していない高山帯に種子が見られることは不自然なことです。
ブナの種子は成熟すると木から落下しますが、自らの力でこれだけの標高差のある高い所まで分散することは出来ません。
ならばどうして種子がこの場所にあるのでしょうか?ブナの種子を食する動物によって運ばれたと推察することができます。
さらにその中で種子をその場で食べず、集めてどこかに隠す習性(貯食)があるネズミ・リス・ホシガラス・カケスなどに絞られますが、秋季にリスなどが種子をほお袋にためて地面を移動し高山まで運んで石の隙間などに隠したとは考えにくく、鳥類の可能性が高いと考えられます。
その中でホシガラスは亜高山帯から高山帯を中心に生活しており、今回ブナの実生を観察した付近でも多く見ることが出来ました。
カケスはブナなどの堅果を好んで食する鳥であり山地帯を中心に生活しています。しかし、高山帯で観察できることもあり、完全に否定することはできません。
一体誰がブナの種子を運んだのでしょうか?



蝶の体温調節
H16.8.16
 更新
蝶は変温動物です。蝶が活動をするのに必要な気温は、種類によって多少異なり ますが、10度から33度くらいの間であるといわれています。
蝶が体温を維持する方法として、気温が低く体温を高くしたい場合には、日光浴という方法があります。この時大きな4枚の翅(はね)を使います。種類によって翅の開き方や開く角度が異なり、大きく開き行うもの、翅を閉じ体を太陽と直角になるように倒して行うもの(高山蝶のタカネヒカゲなど)があります。また、翅の開く角度を完全に地面に着くくらい全開したところから、半開きにするなど体温により調節することも行います。活動(飛翔)中の蝶の体温は、太陽からの熱などにより外気温より10度前後高いという調査もあります。すると真夏には活動可能な温度を超えてしまうことが起きます。このように体温が高くなりすぎる場合には、暑い昼間活動せずに朝夕の涼しい時間帯に活動するものや、日向だけでなく森林の中や林縁など日陰を飛ぶものもいます。真夏の昼前後一番暑い時間帯になると、ミヤマカラスアゲハなど黒い色をしたアゲハチョウなどが、木陰にぶら下がり休んでいるのがこれに該当します。また、吸水を行う種類もいます。吸水とは、主にオスが行い、水分補給と水に溶けている無機塩類を摂取するものですが、口吻(こうふん=口)から水を吸い体内を通し、水滴状で排泄することを続けることにより体温を下げる効果があるともいわれています。
このようなことをしても活動温度を超えてしまった場合には、休眠といって活動しなくなります。夏に行われる休眠を夏眠といいます。ヤマキチョウやヒオドシチョウなどは草木の葉の裏や岩陰などでとまったまま夏季の暑い数ヶ月間は姿を見せません。これとは逆に寒さでどうしても活動温度に達しない場合には冬眠という対応を行います。
この休眠には今回の話のように成虫で行われるほか、卵・幼虫・蛹(さなぎ)と種類により様々な形態で行われます。



チョウのナワバリ
H16.7.4 更新
ナワバリを守るキタテハ
ナワバリとは、ある場所を占有している個体が、その場所に他の個体が侵入してくることに対して防除しようとする行動を行う範囲(領域)をいいますが、カモシカなど哺乳類、ライチョウなど鳥類などのほか昆虫のチョウも種類によってナワバリをつくるものがいます。
 ナワバリ行動として、一定の範囲を巡視するように飛翔してまわる行動のほか、山の頂上部などで見られる「山頂占有性」高い樹木の樹冠部の葉上で見られる「樹冠占有性」が知られています。この時、自分のナワバリから追い払う侵入者には、同じ種の個体だけでなく他の種類のチョウ、甲虫などのほか自分より大きな小鳥の場合もあります。また生物だけに反応するのではなく小石や小枝などを近くに投げた場合にも追跡する行動を起こします。これは単に動く物なら何にでも反応することを意味します。しかしどうしてナワバリに入り込んだ者に対し追跡し追い払うのかというと、繁殖(交尾)に大きく係わっていると考えられています。主にオスが見晴らしのよい場所を占有し、未交尾のメスが飛来してきた場合交尾を行う機会を増やすものと考えられています。
 今年の5月24日小谷村との境に近い新潟県のある山へ登った時、山頂でキアゲハ、ギフチョウ、エルタテハが、それぞれナワバリを作り互いに追尾しあっていました。どの個体も翅(はね)は破損しており、ギフチョウは白っぽく見えるほど色あせ、エルタテハは越冬後で翅の模様が分からないくらい擦り切れた個体でした。ミヤマカラスアゲハは地面や木の枝等にとまることはなく山頂を含む一定のコースを巡回しており、その時他のチョウ(同種と異種両方)と出会うと追尾したり追尾されたりしていました。面白いことにギフチョウは自分より一回り以上も大きなキアゲハやミヤマカラスアゲハを追い回し、時には地面に落ちそうになるほど激しく体があたることもありました。また、タテハチョウの仲間などでは餌場の占有(餌をめぐってナワバリを作る)することもあります。写真のキタテハは、落果したカキの汁を吸っていましたが、他の個体が近づくと翅を開閉して相手をたたき追い払う行動をしていました。



アワフキムシ
H16.5.21 更新
春から初夏にかけて、道端などの草の茎や低木の枝に、白いアワのようなものがたくさんついていることがあります。誰かが草むらに唾(つば)を吐き捨てたようにも見えますが、アワフキムシという昆虫が作ったアワです。このアワの中には小さな昆虫が隠れています。アワは1個体ごとに作られますが、大きなアワになると数個体のアワフキムシが群れていることも珍しらしくありません。アワフキムシはカメムシやセミと同じ仲間、カメムシ目(半翅(し)目)アワフキムシ科に分類され、日本には80種ほど生息しています。この昆虫をよく観察してみると針のような口があります。カメムシやセミと同じように、このとがった口を植物にさして植物の汁を吸います。このアワはどのように作られているのかといいますと、幼虫が呼吸をする時に吐き出された空気と、腹部の先から排せつされた粘り気のある液体とを混ぜて作られています(昆虫の呼吸は口からではなく、腹部にある気門という器官で行います)。このアワは幼虫の時にだけ作られるものです。アワは幼虫の体の乾燥を防いだり、天敵から身を隠す効果がある防御物質であるといわれています。成虫になる時はアワから外に出て羽化します。
 成虫は一見すると小さなセミのような形をしていて、手を近づけたりするとピンピン飛び跳ね注意しないとすぐに見失ってしまいます。カエルが跳ねるのに似ているからでしょうか、成虫は英語でFroghopper といいます。また、幼虫の作ったアワのことは、ちょうどカッコウの鳴き声が聞こえるころに見られるからでしょうか、Cuckoo spit(カッコウの唾)といわれています。カッコウの仲間であるホトトギスのことを日本では「鳴いて血を吐くホトトギス」などといいますが、欧米では「鳴いて唾吐くカッコウ」とでもいうのでしょうか。



モズのはやにえU

@梅の枝のイナゴ

A柿の枝のイナゴ2

Bキハダの枝のドジョウ

Cサンショウの枝のドジョウ

Dモズの巣?
12月2日 前回紹介したモズのはやにえを確認したところ、新たにイナゴ2つ、ドジョ ウ2つのはやにえを見つけました。
 また、いつもモズを見かける付近の植え込みの中にモズと思われる巣もありました。 これでドジョウは3つとなりました。魚類をはやにえにしたのを見たのは初めてだったのですが、鳥類に詳しい方に聞いてみたところモズは小魚を捕ることも良くあるとのことでした。
 12月11日 前回まであったアマガエルと梅の枝のイナゴはいつのまにか無くなってしまいました。食べたのか、風で飛ばされたのか不明です。
 12月17日 柿の木のイナゴも無くなっていました



モズのはやにえ
H12.11.26
私の家の庭では1年中よくモズを見かけます。夏には近辺で巣立ったツバメを狙ったり、
隣の水田でイナゴを捕ったり、秋にはキィーツ、キィーツと鋭い声も良く聞こえます。
休日に庭で作業していた時、いくつかモズのはやにえを見つけました。
@ アマガエル
アゲハ類の食草用に植えたキハダの枝で見つけました。干からびているのですが、カエルの背中には緑と青色がきれいに残っています。
A ケラ
杏の枝にありました。 稲刈り後の田を起した時にでも捕まえたのではと思います。 

B ドジョウ
モズが水中のドジョウを捕まえることは考えにくいのですが… おそらく稲刈りのため、水を抜いた水田か、水路で捕らえたものではと思います。  サンショウの枝にありました。
モズのはやにえは、冬に備えて食べ物を貯蔵する為、縄張りを示す目印などともいわれていますが、よくわかっていないようです。
 その後の経過についてはまた報告したいと思います。


ヤツガシラがいました!!!
(H12.2.8日 更新)
 2000年2月7日午前11時ころ長野県豊科町の田の畦にいるのを見つけました。
その日は2月と思えないくらい天気がよく暖かな日であったので、犀川にいるカモ類の写真を撮りに行く途中で車を運転中、偶然の発見でした。
 車の中からなんとか写真を数枚写したところ歩行者や対向車が来てすぐに飛んでしまいましたが、幸いあまり遠くまでは行かず民家の庭らしいところに降りたように見えました。
 あわてて車をその方角に走らせそっと近づき、木にとまっているのを1枚写したところで今度はかなり遠くまで飛び去ってしまいました。
 大きさはムクドリくらいで、頭に大きな冠があり、頭部から肩にかけての色は畦の枯草と同じような色で翼から先は黒と白の縞模様です。飛び方はあまり上手でないように感じました。
 なかなか見ることのできない鳥なので、かなり興奮ぎみで写真もうまく撮れているか全く解らないくらいでした。
 その後、カワセミを見たり、付近の工場の敷地内の芝で採食しているタゲリを見たりと楽しい一時を過ごさせてもらいました。

■ ヤツガシラ(ヤツガシラ科で世界に一種)・・・・中国北部などで繁殖し、中国南部、タイなどで越冬する途中、日本に寄る旅鳥といわれているが、長野県内で繁殖例がある。


冬の昆虫
(H11.12.3 更新)
寒い冬の間、ふつう昆虫は活動していないと思われますが、なかにはこの時期に現れるものがいます。
 フユシャクという蛾の仲間もその一つです。
 博物館の仕事が終わり帰宅する時、車のヘッドライトに照らされた弱々しい白っぽく透き通った翅(はね)で飛んでいるフユシャクを見かけます。
また、朝出勤してくると建物のガラス窓にとまっていることもあります。
大町市では5〜6種類観察することができます。
フユシャクは変わった習性をしています。雪の降る寒い夜飛んでいるのはすべてオスです。メスは一体どうなのかというと、全く飛びません、というよりメスの翅(はね)は退化していて飛ぶことができないのです。
メスは幼虫の餌となる樹木にいてオスが飛んでくるのを待っているのです。


ハンミョウ
(H11.8.4 更新)
 夏の暑い日差しの河原や山道を歩いていると、足元から歩いていく方向に2〜3センチメートルの昆虫が飛んだり走っていくのを見ることがあります。これはハンミョウという昆虫です。歩く先へ、先へと行くので“ミチオシエ”“ミチシルベ”などとも呼ばれています。
背中をよく見ると赤・白・紫・緑・金色などがちりばめられ宝石のように輝いてとても綺麗です。英名でTiger beetleというだけあり大きく鋭い大顎を持っています。(幼虫にもちゃんとある)この口で小昆虫などを捕らえて食べる肉食昆虫でもあります。
綺麗だからといって不用意に捕まえようとすると痛い目にあいます。注意しましょう。
 博物館の裏山の鷹狩山山頂へ行く道で出会ったハンミョウは、立ち止まっていられないくらいアスファルトの車道が熱かったのか、誰も後ろを歩いていないのに、とても急いで先へ先へと飛んでいきました。


エゾイトトンボ
(H11.7.3 更新)
大町市内のある溜池にトンボの観察に行ってきました。その日は大変天気が良く、目的のヨツボシトンボのほかコサナエ・ハラビロトンボなどの写真撮影ができました。
池の周りを歩いていると足元から2匹連結したイトトンボが飛び立ちました。
連結している前方がオスで後ろがメスです。一直線になったり、メスの腹部を曲げオスの腹節の下に付けてハート型になったり(交尾)見ていて飽きませんでした。
トンボが少し飛ぶとまたすぐ近づいてカメラを向けるので、トンボから見るととても迷惑であり、また恐かったことでしょう。あまりしつこく近づくと2匹が離れてしまいそうなので、ほどほどにしておきましたが…。
葉の上に長い間とまっていたので良く見るとエゾイトトンボでした。(本当は珍しいオゼイトトンボならばと期待していたのですが…)成熟したオスで腹部はルリ色に黒紋があります。エゾといっても北海道以外にも本州東北から中部地方まで広く分布しています。


カササギを見てきました
(H11.5.24 更新)
5月9日に長野県と新潟県との境にある小谷村大網という集落を2年ぶりに訪ねてきました。ここには3年以上まえからカササギという鳥(カラスの仲間で日本では北九州にいる)がどこからか飛んできて住みついています。
 今年も電柱に巣を作り、巣に出入りしていたり、畑に降りて昆虫のようなものを探しているのを見ることが出来ました。
 村の方に聞いたところ、毎年巣作りして産卵し雛には育っているのですが巣立ちまではいかず、どうも繁殖は成功していないらしいです。
 カササギは巣や電線などから飛び立つ時に、翼を広げてダイビングするように飛び降りてから羽ばたきして飛んでいました。広げた翼の先(風切羽の内側)は、空が透けて見えるように白くとても美しかったです。
 この日は天気がよく、小谷村に行く途中、白馬村の何箇所かでヒメギフチョウを目撃できました。(今年のギフ・ヒメギフのシーズンは休日と天候の関係でなかなかフィールドに出ることができずストレスがたまっています。)


春のサシバの渡り調査の協力者を探しています
  3月末に友人より、色つきサシバ(鳥)を探さないか?と誘いがあり、私も参加させてもらうことにしました。
  ワシ・タカの渡りに興味がありましたら是非ご協力お願いいたします。一人でも多くの方に見ていただけますと調査の精度が高くなり ます。
  この研究は、サシバの渡りルートの解明、繁殖地、渡りの中継地、越冬地の環境利用を調べ、重要な関わりのある環境を抽出し、サシバや里山環境の保全に役立てることを目的としたもので、東京大学大学院農学生命科学研究科野生動物研究室が中心となって行なっています。
 3月中旬に沖縄県石垣島で12羽のサシバを捕獲し、6羽のサシバにPTT(衛生位置追跡装置)を装着し、移動経路を調べるとともに、12羽すべての羽毛に着目し放鳥しています。
 機器は軽量で鳥に負担が少なく、時間がたつと自然に外れます。着色染料も羽の表面に影響少なく問題無いそうです。
 色は翼下面、尾羽の裏側、喉、下尾筒で、赤、黄、青、緑の着色をしてあります。個体により部位と色の組み合わせが異なります。も し色付きのサシバを見かけたら、日時、場所、観察者、(連絡先)、どの部分に何色がついていたか、観察時の状況を下記に連絡して みませんか。

         連絡先 〒113−8657 東京都文京区弥生1−1−1
              東京大学大学院農学生命科学研究科 野生動物研究室
              п@03−3812−2111 内線7541 Fax 03−5689−7254

            4月30日よりп@03−5841−7541 Fax 03−5841−8192
              e-mail:emi@uf.a.u-tokyo.ac.jp



タゲリ(チドリ科)
 毎年この時期になると出勤・帰宅途中にタゲリを探すのが日課となります。毎年ほぼ同じ水田で群れているのを観察しています。朝はまだ凍った泥の中の餌を探しているのを、夕方薄暗い時刻には、水田の中央部に集まり寝る準備をしているのを見ることができます。
 ある日、昼間はどうしているのだろうか、と思い朝7時ころから観察してみました。初めはいくつもの水田に散らばり餌を食べているのですが、9時ごろになるとだんだん飛ぶ距離が長くなり、そのうち群れて高く飛びどこかへ行ってしまいました。しかし夕方にはまた元の水田に戻っていました。
 タゲリは本州には冬鳥として飛来し、大町付近では春先の移動の途中に見ることができます。しかしなぜか秋の移動の途中には見たことがありません。探し方が悪いのか、秋には春と同じ場所には立ち寄らないのか、それとも秋は春と違ったコースで移動しているのか、知っている方は教えてください。
 
 タゲリは警戒心が強く、なかなか近づかせてくれません。しかし自動車に対しては平気で、窓の間から観察したり写真を撮ることには自分に危害が及ばないと思うらしく6メートルくらいまで接近することができました。時々頭を傾げてこちらの動きを伺う姿と、朝日を浴びて金属的な緑色に見える背面はとても印象的でした。


【目撃記録】
1996 3.10〜4.3 最多12羽
1997 3. 6〜 3.21 最多15羽
1998 2.26〜 4.3 最多13羽
     


     
雪虫
みなさんはユキムシというのをご存知でしょうか?ユキムシという名前の昆虫はいませんが、雪の降る地方にはユキムシと呼ばれている昆虫は何種かいます。その中の一つをご紹介します。
 セッケイカワゲラは水生昆虫、クロカワゲラの仲間で雪のある時期に羽化します。
天気の良い暖かな日には、雪の上をちょこちょこと歩いているのを目にします。雪の上の落ち葉などを食べているのでしょうか?そっと観察していると、近くにある木の枝や葉の裏や、雪の隙間などに入り込んでいきます。全身真っ黒で、体長は1〜1.3センチメートル、羽は退化していて飛ぶことができません。 真夏のアルプスの雪渓の上(残雪)でも見ることができることから登山者などからは、セッケイムシとも呼れています。
平地にも分布していますが、飲めるようなきれいな水にしか棲めません。大町市では、葛温泉付近の渓流の雪の上では2〜3月に、針ノ木大雪渓では6月に行われる慎太郎祭時に観察しています。



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